｜ごあいさつ : Welcome｜

社会福祉法人侑愛会
理事長 大場公孝

自閉症セミナーにむけて

　今年は、社会福祉法人侑愛会（おしまコロニー）が、本格的に発達障がいの支援をするようになって
45周年を迎えます。また、私どもの北海道発達障害者支援センターあおいそらも、10周年を迎える記念の年です。
　1967年に児童入所施設を開設して以来、自閉症の方々への支援に悩んでいた私たちに一筋の光明が見えたのは、1980年代に佐々木正美先生からTEACCHプログラムをご紹介いただいた時でした。私たちはその効果に驚き、その後TEACCHプログラムについて深く学ぶにつれ、保護者との協働や根拠のある一貫した支援など、その哲学に深く共感するようになっていきました。1991年にはTEACCHプログラム創始者であるショプラー先生を函館にお招きし、ご講演とおしまコロニーのコンサルテーションをしていただくことができました。自閉症の方々やその家族一人ひとりに寄り添う姿勢と、その将来に根拠のある希望をお示しくださったことは、私たちにとって大きな支えと目標になりました。
　知的障がいの方の支援から始まったおしまコロニーですが、さまざまなタイプの自閉症の方々からの相談も増え、そのニーズに応えて行くことが重要になってきました。そのような中で、1997年にはグリーンビルTEACCHセンター所長のダハティー先生に、2003年にはTEACCH部ディレクターとしてショプラー先生の後を継がれたメジボブ先生にご講演とコンサルテーションをしていただきました。2005年には、メジボブ先生とともにTEACCH部リサーチ部門のハーセイ先生に、2007年にはメジボブ先生とアッシュビルTEACCHセンターのファハティー先生にご講演をいただくことができました。これらの機会を通じて、最先端の情報に常に敏感でありつつも、流行やトピックスだけに流されない支援の基本を確認させていただき、身の引き締まる思いでした。また、ややもすると特殊なものと考えられがちな高機能の人たちへの支援は、知的な遅れを伴う人たちへの支援と基本は共通していることもお示しいただき、発達障害者支援センターを中心とした地域の中での支援の方向性を確認することができました。
　おしまコロニーの自閉症支援の歴史を振り返るとき、私たちはTEACCHプログラムから学び、TEACCHプログラムを道しるべに歩んできたと言っても過言ではありません。このような記念の年に、共にこの地域の支援に携わってきた北海道自閉症協会、TEACCHプログラム研究会北海道支部の皆さんと一緒にTEACCHプログラムの最前線にいるお二人をお迎えできることを、大変にうれしく思っております。また、ご参加の皆様にとりましても、貴重な機会になることと確信いたします。
　たくさんの皆様のご参加をお待ち申し上げます。

おしま地域療育センター
所長 高橋和俊

プログラムコーディネーターから

　このたび、ノースカロライナ大学TEACCH自閉症プログラムより、ジョイス・ラム先生、ルース・フラー先生という自閉症支援のスペシャリストお二人を函館にお招きすることになりました。私たち日本の支援者にとってはもちろんのこと、自閉症スペクトラムの方々やそのご家族にも、大変貴重な機会になることは間違いありません。
　自閉症スペクトラムの方々に対する性教育は、単に性に関する知識を教えることでは不十分であり、子どもから大人への身体的・精神的変化への科学的理解と、それに基づいたソーシャルスキル・ライフスキルの学習が一体となったものでなければなりません。また、それらの学習に際しては、認知特性への理解を基盤にした系統的な学習プログラムが必要です。当法人では、そのような考えに基づいた性教育プログラムの開発を、発達障害者支援センターあおいそらが、函館・性と薬物を考える会との協力で進めてまいりました。また、昨年度は日本の自閉症支援の第一人者であり、おしまコロニーのコンサルタントでもある服巻智子先生にこのテーマでご講演いただき、大きな反響をいただきました。
　そのような中で、ラム先生、フラー先生のお二人にご講演をお願いできると伺い、真っ先にテーマとしてお願いしたいと考えましたのが性教育でした。自閉症スペクトラムの認知特性に早くから着目し、一人ひとりにとってわかりやすく力を発揮しやすい教育プログラムを50年にわたり開発し続けているTEACCHプログラムの第一線の先生方から、性教育について直接にお話を伺うことができるのは、TEACCHプログラムと日本の長い交流の歴史の中でも初めてのことかと思います。この大変に意義深い機会を多くの方々と共有できることは、大きな喜びです。
　また、せっかくの機会を十分に生かしていただくため、セミナーのプレ企画としてTEACCHプログラムの歴史、理念、実践について、私がセミナー前日の夜にお話しさせていただきます。セミナーに先立ちましてTEACCHプログラムについての予備知識を得ておかれたい方は、ぜひご参加ください。
　皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。